石川県津幡町の「大滝観光流しそうめん」で8月に発生した集団食中毒事件。
93人が被害を訴え、約500人が相談したという大規模な事態となりました。
原因は、流しそうめんに使われた湧き水に混入した細菌「カンピロバクター」でした。
この記事では、この事件の経緯や原因、運営会社の対応や今後の見通しについて解説します。
食中毒事件の経緯
「大滝観光流しそうめん」は、石川県津幡町の木窪大滝にある夏の名物で、30年以上続く人気スポットでした。週末には長蛇の列ができるほどで、FNNも8月12日に取材を行っています。しかし、その日を境に、食事をした客から下痢や発熱などの訴えが相次ぎました。
保健所が調査を行ったところ、流しそうめんやそばなどに使われた湧き水からカンピロバクターが検出されました12。カンピロバクターは、野生動物や家畜などが持っている細菌で、鶏肉などを加熱不十分な状態で食べた時などに食中毒を引き起こします。この細菌がなぜ湧き水に混入していたのかは後述します。
運営会社の大滝観光は8月16日に営業を自粛しました。その後も被害者や相談者が増え続け、9月1日時点で93人が食中毒と確認され、約500人が相談しています。この事件は全国的にも注目される大規模な食中毒事件となりました。
食中毒事件の原因
食中毒事件の原因は、湧き水に混入したカンピロバクターでしたが、その混入経路は複数の可能性が考えられます。
一つ目は、豪雨の影響です。7月12日に石川県では線状降水帯が発生し、津幡町では約2700世帯に避難指示が出されるほどの豪雨となりました。この豪雨で土砂崩れや浸水などが起きており、湧き水の取水口や管にも影響が及んだ可能性があります。野生動物のふん便などに含まれるカンピロバクターが、豪雨で流されて湧き水に混入したという説です。
二つ目は、管の破損です。湧き水は山から伸びる黒い管で流しそうめんの場所まで運ばれていましたが、その管には破損箇所が複数ありました。特に、水が噴き出している箇所が見つかりました1 。この箇所から外部からカンピロバクターが侵入したという説です。管は地上に見えていただけでも約100メートルあり、地中に埋まっていた箇所もありました。管の管理状況に問題があったという指摘もあります。
三つ目は、野生動物の侵入です。湧き水の取水口の近くでは、檻にかかったイノシシが発見されました。イノシシなどの野生動物はカンピロバクターを持っている可能性が高く、取水口や管を噛んだりしたことで細菌が混入したという説です。
運営会社の対応と今後の見通し
運営会社の大滝観光は、食中毒事件を受けて謝罪コメントを発表しました。その中で、「7月中旬に発生した線状降水帯の影響により、塩素投入装置が被災し、急ぎ復旧させましたが、営業を優先し、営業開始前に水質検査を実施しなかったことが今回の事態を招いてしまったと考えています」と説明しました。
大滝観光は例年、営業開始前に水質検査を行っていましたが、今年は7月の豪雨で水質検査を実施せずに営業を始めたということです。食品衛生法では、営業者は1年に1回以上、水質検査を含めた衛生管理を行う必要がありますが、時期の指定はありません。大滝観光は2023年度の水質検査を食中毒が起きた後の8月16日に実施したということです2 。
大滝観光は被害者や相談者に対して損害賠償を行うことを表明しました。その上で、「当社は今回の事故を受けて廃業することを決断しました」と発表しました。30年以上続いた夏の名物「大滝観光流しそうめん」は、今年で最後となりました。
まとめ
「大滝観光流しそうめん」で8月に発生した集団食中毒事件について解説しました。
本記事の内容があなたのお役に立てば幸いです。
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